膝関節の外傷と障害

久しぶりの更新で失礼しました((+_+)) たまたまサッカー仲間のお父さんが“半月板やっちゃって…近くの治療院に通ってるんですけど、なかなか…”ということだったので、以前膝について書いたことはありますがあらためて(-_-;) 

膝の痛みといっても、半月板損傷、靭帯損傷、変形性膝関節症などいろいろあります。しかし、ほぼ例外なくどれも膝周辺の筋力が低下することは間違いありま せん。当然リハビリで筋力強化は必要となりますが…とりあえず大腿四頭筋とハムストリングスを鍛えとけばいい?いやいや、そんな単純な問題ではありません (>_<) 

まず、膝の解剖学的構造を考えます。膝関節には静的支持機構と動的支持機構があります。前者は半月板や靭帯を表し、後者は筋肉を表します。そんなことわかってるよ!と思ってる専門家の声が聞こえてきそうですが…一般の方向けの解説と思って流してください((+_+)) 

静的支持機構はクッションの役割をしたり、関節の前後左右の過度な動きを抑えてくれたりします。しかし、この支持機構だけでは限界がある…そこで動的支持 機構である筋肉の役割が重要になってきます。病院のリハビリや治療院でもこれらのトレーニングはするでしょうけど…なかなかうまくいかないことってありま すよね(-_-;) 

膝が30°曲がった状態が最も左右の動揺が大きくなる、逆に言えばその状態でどれだけ筋肉でコントロールできるかが膝の安定性の鍵となります。膝伸展支持 機構の中でも特に内側広筋は重要です。しかし膝に痛みが出現すると体重も十分かけられなくなり、脳からの抑制もあってその筋肉が機能しなくなり、さらに不 安定性は増大して痛みが増強…といった悪循環に陥りやすい。 

また、衝撃を上手に吸収するために筋肉を引き伸ばしながら力を発揮(eccentric control)しなければならないので、トレーニングの際これらを考慮する必要がある。さらに膝の安定性にはハムストリングスとの協調性も大事です。 

話が長くなりましたが、前述のお父さんもその治療院で受傷して間もなく物理療法とマッサージをしながらバランスボードなどでトレーニングを開始したとのこ と。もちろんバランス系のトレーニングは重要です。しかし、果たして膝伸展支持機構は十分回復していたのか…確認したところ、やはり十分とは言えなかっ た。膝の問題ではあるけれど、膝だけみれば良いのか…股関節は?足関節は?体幹は?など全体をみていたのか? 

膝に限らずですが、リハビリを行う前にまず確定診断が必要です。診断できるのは医師だけですから、まずは病院での検査、その後きちんとしたリハビリテーションを行えば予後は変わってくると思います。ヒトの身体に関わる仕事をしている人は肝に銘じておきたいですね。
 
銀座2丁目 b-studio EXCHANGE